自ら作ってみて、初めて分かることも有るのだ。

さあ、笛を作ろう。

楽器を作るなんて、専門の職人さんにしか出来ない。と、私も思っていました。でも、例えば、打楽器。目の前の机をバンバンと叩けば、立派な太鼓です。ウイスキーのビンの口から、フーと息を吹き込んでみましょう。ボーという音がでましたね。ウイスキーを飲む度にこの音が低くなっていきます。オカリーナのような閉管楽器と同じ原理です。ケーナだって、その気になれば簡単。完璧なものは年季がいります。一人の笛好きとしたら、その手作りの過程を楽しみましょう。

笛ってこんなに簡単に音が出るんだ

ホームセンターで塩ビの水道管を買ってきます。内径25mm。2メーターで750円。手持ちのケナッチョに合わせて、切断して、やすりで歌口を作る。フーと吹いたら、、ボーという野太い音。ありゃ、笛ってこんなに簡単に音がでるんだ。響きも悪くない。音程は後回しにして、手孔を全部開けてしまおう。私はボール盤に約7mmと10mmのビットを使いました。裏孔は、5mm。さあ、うまくドレミが出るかな。あれ、音程が変だぞ。そうなんです。竹のケナッチョをそのままコピーしても音程までは正確にコピーできない。そもそも、孔を全閉にした、筒音の段階で、ケナッチョの基音D、レからずれてしまっているはずです。音程合わせ。辛くてもこれが笛作りの肝なのです。

試作に使った塩ビ管笛の山。デジタルチューナーを使って下の孔から順番に音程を合わせていきます。チューナーがなければピアノや電子キーボードなどの音程が確かな物と合わせましょう。おかしな孔はガムテープでふさぎ、すこしのずれは、棒やすりで孔を広げ微調整。管の中は、長めの棒に紙やすりを木工用ボンドで張りつけ、ゴシゴシこすってやります。さあ、孔の位置が決まったから、今度こそ完全なものが出来るぞと、勇んで新しい管に孔を開けて吹いてみると、やはり微妙に狂っている、この不思議。こうして出来あがったケナッチョは塩ビ管とはいえ、宝物です。特に低音の響きが良い上、本物より手孔の間隔が狭く、押さえやすい。ただし、高音になる程、不安定で、2オクターブしか使えません。

 本物よりちょっと長めの手作りケナッチョ。

 表面も細かい紙やすりでこすって、字を消しました。


ケナッチョと同じ内径25mmの塩ビ管が利用できるのが尺八です。これも実物の尺八の長さをコピーしても音程は合いません。尺八自体、吹き方で音程が大きく変わるので、音合わせは、ケナッチョより遥かに難しい。それでも、作る価値があると思うのは、歌口を自分に合わせて削れるからです。

一尺六寸管と一尺八寸管をなんとか完成させました。今のところ練習用の木製尺八より音は出ます。ただし、やはり高音は不安定で2オクターブがやっとのところ。

この他20mm塩ビ管でケーナを。16mm管で横笛を作りました。きれの良い音が出ますが、1オクターブ半しか使えず、楽器としての価値は?です。いかに高音を出すかで悪戦苦闘するくらいなら、本来の竹で良いものをつくりましょう。

ケーナ作りに必要な竹は北海道には自生していません。笛についてはちょくちょくお世話になっている富良野在住の笛作家、玉田さんから、千葉産の竹を分けてもらいました。内径は18mmから19mm。ボリビア産の竹(カーニャ)に比べ肉厚が薄く、軽い。孔を高めにあけてしまうと、取り返しがつかないので、低めに小さ目の孔を開け、棒やすりで調整。そうだ、穴あけのビットは木工用だと食い込みが強すぎて竹が割れることがあるので、鉄工用がいいですよ。幸運なことに、一本目でほぼ満足のいく物ができた。日本の竹の特質で、ボリビア製と比べ、音が軽く明るい。高音はピーピーと言う感じで、祭囃子のピーヒャラ風。嬉しくて、dococa1と銘を刻んだ。上の写真の下が手作りケーナ。プロのケーナにはおよびもつかないけど、愛着はひとしお。歌口の形や手孔の大きさなど、すべて自分にあわせた、究極の手作りケーナへの第一歩です。

 

竹の次はは土だ。


竹の笛と土の笛とではどちらが歴史が古いのでしょうか。いずれも古代からいろいろな形のものが伝えられています。

 「けん」の資料

「ケーナいーな」のページで縄文の土笛を紹介しています。また、弥生時代には卵型の「けん」という土笛が日本の各地の遺跡から見つかっています。「けん」の原形は7000年前の中国にすでにみられたということで、まさに太古の笛です。この「けん」の形を見てピンときたんです。

我がたまごカフェのお土産にしたら受けるんじゃないか。太古の笛には申し訳ない発想ですが、こうして、卵笛作りが始まったわけです。

(続くはず)

ついに喫茶店を建ててしまった。

小さな有機栽培農家にとって、農作物を売るというのは、作るのに劣らず大切なことです。卵のお客さんは、新聞にチラシを入れることで、ある程度確保できました。しかし、米や野菜の類は、思う様に販路が広がりません。庭先に無人直売用の小屋を建て、採れたて野菜を並べては見たのですが、幹線道路から外れているため、売上は伸びません。
野菜や加工品をその場で試食して、買ってもらえるような八百屋兼飲食店を持ちたいという思いが年ごとに募ってきました。
話は、突然ですが、ここで大工仕事に飛びます。

 人間の住む家を初めて自力で建てたのは1995年。写真のログハウスが、その記念すべき第一号です。中富良野に来て、まず掘建ての10坪の鶏舎を作りました。雪で潰されても鶏なら逃げるだろうと、軽い気持ちで建てた のですが、4面開放のスカスカの作り幸いしたのか、風にも雪にも耐え抜きました。
これに気をよくして、20坪の鶏舎を3棟建て増し。勢い で、この6坪、ロフト付きのログハウスを、殆どチェーンソー一つで建ててしまいました。所詮素人の仕事ですから、細部にはこだわらない。
チェーンソーに電動ドリル、あとは電気のこぎりでもあれば怖いもの無しです。
どこか流簡単ログハウスのコツはたいこ挽きのログを使う事。
地元のからまつ材を厚さ120ミリのたいこに挽いてもらって、どんどん積み上げていきます。材の長さは3600ミリ。これ以上だと、一人で持ち上げるには辛い。400ミリ程に切った鉄筋を、ドリルで開けた穴にバンバン刺しこみ、丸太のずれを防いでいきます。
丸太部分は一週間もあれば組みあがります。隙間はあとからコーキング材で埋めます。
丸太一本が2000円。約100本使っているので 計20万円。コストの安さは言うまでもありませが、自分で家を建てる楽しさはやってみなけりゃわからない。こんな面白い事を、大工さんに任せてしまうなんて、何て勿体無いと思います。


さて、ようやくたまごカフェの話です。 

写真はオープンカフェ風の客席部分です。
床面積20坪、屋上デッキ10坪の喫茶店を一冬で建て、保健所の許可を取って、堂々と営業しているのですから、やれば出来るものです。
坪単価が、約5万円。低コストの秘密は、業者には頼まず、出来る事は、全て自分でやる。やれない事は、知り合いに頼む。
.また、廃品など使えそうなものは,あらかじめこまめに集めておくことです。
 

いよいよたまごカフェ建設物語の始まりです。 

建物を作るとき、まずその建築目的をはっきりさせておかなければなりません。いわゆるコンセプトの煮詰めです。たまごカフェは、自家農産物に手を加えて、直接お客さんに提供する、農家カフェです。
飲食を提供するとなれば、保健所の営業許可が不可欠ですから、その条件を満たすのが,大前提となります。
また、有機農業の精神にのっとり(懐具合も考慮して)、低コスト、低維持費、省エネルギー、環境に悪影響を与えない、自給ハウスを究極の目標にしています。

建物を作るとき、真っ先に必要になる物、そう、土地ですね。この点、農家は得です。畑をつぶしてしまえばいいのですから。私は、自宅前の畑の、道路沿いの500平米を、たまごカフェの敷地として、農業委員会に農地転用の申請をしました。これがコンビニやパチンコ店なら、はねられたでしょうが、農業関連施設ということで、半年余りで転用許可がおりました。

それから構想一年。得意のどこか風タイコログハウスでは、大きな物は無理。では、知り合いのログビルダーに頼んで、ポスト&ビーム式で柱と梁だけ組んでもらい後は自分で仕上げるか。まてよ、でっかい農業用格納庫を建てて、内部をそれらしく改装するのも面白い。それとも・・・・。
そんな時、友人から話がありました。「5坪のスーパーハウスが2棟いらなくなったんだけど、あわせて30万円で買わない?」 スーパーハウス?工事現場の仮小屋によく使ってるやつだろ。カフェのイメージに全然あわないでしょう。と、一旦は断ったものの、よく考えると、スーパーハウス(ユニットハウス)というやつは、北国では理想的な小屋なのです。薄いながらも断熱材がはいっていて、密閉性も高いから、ストーブをたけば、真冬でも十分暖かい。運搬が簡単で、嫌になったら、とっぱらてしまえばいい。10坪で30万ということは、坪3万円。うーん、掘建て小屋でもこんなに安くはできんな。よし買った。

思ってもいなかったスーパーハウス利用農家カフェの建設が具体的にうごきだしたのが、1997年の10月。雪の季節が目前にせまっていました。<1999年5月28日記>

裏口側から見たたまごカフェ。
スーパーハウスを利用した構造がよくわかる。
南側が温室で客席。
北側はトタン屋根を付けて物置に。
屋根にはすのこを張って展望デッキに。